ショッキングな出来事。家族とは


約1ヶ月前に仙台富沢病院を退院されたOさん。戦争を経験した高齢の方。戦争関係の物語を聴いてから発言・会話が増え、周りへの気遣いもされるほど回復なさっていた。
今日のセッションで再会したのだが、その変わり様に一時言葉を失ってしまう。

車椅子だが背筋をしゃんと伸ばしていたOさんが、肘掛に身体をもたせかけゲッシャリとしたまま表情も無い。

Oさんに何があったのか。

担当の作業療法士、先生方から経緯の説明をうける。

退院は家族によって突然行われた。案の定、調子が悪くなり別の病院で3週間入院していた。色々な薬が処方され、手に負えなくなり仙台富沢病院に昨日戻ってきたばかりだと言う。

Oさんの変わり果てた姿を見て、薬の恐ろしさを改めて感じた。

Oさんが好きだった話をすると、顔を上げて何かを喋ってくれた。意味は不明瞭だが、必死にダルい意識に鞭打って言葉を繋げようとして下さった。
様子を見ていた作業療法士は、この反応を見て安心し、退院さえなければと悔やんでいた。私も全く同感だ。

今日のセッションには数ヶ月前に退院され、地元のデイサービスに通いながらも、演劇情動療法を受けたいと言って毎週富沢病院に戻って来るTさんも居た。彼は健康的で会話好き、新聞の最新情報を教えてくれる。

この違いは何だろう?

家族の違い…。

私たちの手の届かない、その方の家族。

ご家族の方にわかってほしい。
認知症の方はあなたの親であり、あなたへの愛情を温存した、情を求めている存在だと。

認知症患者の問題行動は、介護者の問題行動・感情によって引き起こされている。